スイス航空111便墜落事故について
HB-IWF_PHOTO
今回事故にあったMD-11型、HB-IWF機

このページの最終更新は、平成12年5月26日です。

1998年9月2日ニューヨーク現地時間20時発、ジュネーブ行きスイス航空(SR)111便、乗客乗員229名を乗せたMD-11型機(HB-IWF)が離陸1時間後、コックピット内に煙りが立ちこめたと緊急事態を管制官に宣言しボストンに緊急着陸を要請したが、管制官より「カナダのハリファックスの方が近いのでそちらに着陸せよ」との指示を受け同空港に向かい、燃料を捨てるとの交信を最後に空港まであと7.8分の距離の大西洋上に墜落しました。  残念ながら機体の損傷も激しく生存者も無く、乗客乗員全員死亡とスイス航空の設立以来で最悪の事故になってしまった。

 この事故を自分は、9月3日午後、いつものように会社でinternetでブックマークしているサイトを覗いてると「Swissair Flight 111 Crash」の文字
まさかと思って読んでいくと、カナダで墜落・・・。仕事もほっといて情報収集に走りました。
その日の朝、日比谷のスイス航空に航空券を購入しに行ったばかりで、その時はいつもの穏やかな雰囲気だったのだ。そして翌週、自分もロスからのスイス航空で大西洋を横断する予定だったです。

今回の事故によりお亡くなりなられた犠牲者の方々に心からお悔やみ申し上げます。 このページは筆者の私見ですので、スイス航空の公式な見解ではありません
また、この件に関し読者の皆様から沢山のメールを頂きましてありがとう御座います。

情報収集

事故を知った自分はInternetを使って情報収集を始める。事故が公表されたばかりでスイス航空のサイトは混雑してつながらなくYahoo USA のニュース特集に釘付けになった。

<事故に関する情報リンク>(英語)
スイス航空
スイス航空公式発表
Yahoo USA スイス航空事故ニュース

スイス航空の過去の事故とMD−11

スイス航空は安全性で非常に高い評価を受けていて、Airline人気調査でも常に上位ランキングされる程の人気です。しかし、スイス航空では人身事故が0と言うわけでも無く、

1963.9.4カラベル機スイスにて墜落、乗客乗員80名死亡
1970.2.21CV990機スイス上空で爆弾の爆発により墜落、乗客乗員47名死亡
1976.10.7DC8機(HB-IDE)アテネ空港でオーバーラン、乗客14名死亡

の事故がある。(※スイスエア500クリアードトゥランドより抜粋)

一方、事故機となったMD-11型機はHB-IWF号機で、スイス航空に1991年4月に導入された機材で、最近では8月にAチェックを受けている。
スイス航空では、このMD-11を主力機として使用しているが、残念ながらこの飛行機はあまり航空関係者の間から評判がよろしくない。

 確かに、DC-10をコンピュータ化しただけで、当初より機能面での不満が多く、導入した航空会社の中には既に手放している所もある
日本航空でも保有しているが、香港で尻餅事故を起こしたりマニラで滑走路から外れたりと事故を起こしており、スイス航空でも成田で離陸の際にエンジンからの出火を少なくとも2回起こしていることも事実である。
 といっても、スイス航空の整備技術スタッフは優れており、MD-11の使用航空会社としては最高水準の技術を持っており定時発着率でもトップクラスの成績をおさめています。
またパイロットもこのMD-11の特性を充分理解しているので安心して任させられる。
同社の安全に対する姿勢は他社を圧倒するものがあり、整備不良の飛行機を飛ばすことはあり得ないのです。
 しかし、残念ながら事故が起きてしまいまい229名と言う尊い命が散ってしまったのです。

なぜ111便が

この事故を聞いた時にまず思ったのは「テロ」。アフリカでのアメリカ大使館爆破事故の報復攻撃の報復ではないかと疑いました。
アメリカ国内がテロの備える中、国連本部があるニューヨークと欧州本部があるジュネーブを結ぶのは、スイス航空111便しか無く国連職員が良く利用する為、大西洋線を全てチューリッヒに集めた後も唯一のジュネーブ発着路線とし運航していていた。
現実に、国連関係者も搭乗しており、会議に出席する為にエイズ治療の博士夫妻も搭乗しておりました。
 またデルタ航空との共同運航とあって格好のテロの標的になったのでは無いか?
と疑ったのです。しかし、テロであった証拠もなく、犯行声明も無くその後の捜査によりテロでは無いこと判明いたしました。

 現在、事故究明が行われていますが、緊急事態を宣言して直ぐに機影がレーダーから消えていることから、異常事態発生から墜落まで時間が短いことから機体に致命的なダメージを受けた可能性が高いと思います。
 パンナムが爆破事件やTWA墜落事故が記憶に新しいと思いますが、何がスイス航空111便にあったのか?
スイス航空はATC(管制官)との交信記録を公表しました。これによりと、コックピットに煙りが入り込み、緊急事態を宣言しています。燃料を放出するとの連絡が最後に途切れています。この後に何が起こったのか?これからのブラックボックス/ヴォイスレコーダーが回収され究明が進むと思いますが、ヴォイスレコーダーは墜落6分前の記録が消えていると言う、一番重要な記録の部分が途切れてしまっている。

 その後の報道によりますと、墜落の原因に「エンターティメントシステム」の故障によるヒートオーバー(出火か?)ではい無いかと言う仮説が出ています。
スイス航空ではMD-11とB747のファースト、ビジネスクラスにタッチスクリーンのビデオンデマンドによるエンターティメントシステムを導入しています。
このシステムが何らかの原因によりヒートオーバーし出火若しくは煙が充満し(機内が300Cまで上昇したと言う報道もあります)て墜落に至ったたというものです。
既にスイス航空では同システムの利用を一時中止しており、調査を開始しています。

謎の異臭

98年11月27日、シンガポール発SR189便(MD-11)乗員乗客223名が離陸後直ぐにコッ クピット内に鋭い異臭(刺激臭)が立ちこめた為、機長は直ぐにシンガポールに引き返す事件(事故)が発生した。
SR111便事故でもコックピット内に煙が立ちこめたことから、同様な事故になる恐れもあったが、離陸して直ぐだった(3500m上空)のが幸いしてか、事なきを得た。
この事故を受けてスイス航空の技術陣、ボーイング社、スイス航空局は事故究明に技術陣を派遣して事故究明に乗り出した。
その後の調査の結果、機器類には異常は無く、刺激臭の原因はインドネシア火山の噴煙が大気の上に流れてきて、たまたまそこをスイス機が噴煙帯を通過しエンジンから空調設備に侵入し機内に流れこんだもので、機器の異常で無いことが判明しました。

謎の異臭 その2

6月12日、バンコク発チューリッヒ行きSR183便(MD-11)がバンコク出発後30分後に、コックピット内で異臭が発生した為に、デリーに臨時着陸を行った。着陸後現地のSRメンテで調査したが、異常は見つからず3時間遅れで再びチューリッヒへ向かった。
それにしても、MD-11は大丈夫なのだろうか?アクシデントが重なるとなんとかなく、早くリプレイスして欲しいと思うのは自分だけじゃない筈・・・

その後・・・

この事故も過去の出来事となりつつありますが、事故原因究明は続けられており、「なんらかの電気機器」の発熱によりコックピット内の隔壁から発煙、発火したものとみられている。
その電気機器も操縦士が航空地図をみる為のスポットライトでは無いかと言われており、調査を続けているが、今回発表になった資料には「墜落の6分前に第二エンジンをシャットダウンした」したとも報じており、なぜ、乗務員がエンジンをシャットダウンさせたか?疑問が残るところです。

事故調査結果

2003年3月27日、カナダの事故調査チームは、海中から引き上げられた機体の復元作業を終え、一連の事故の原因について、「機内娯楽用システムの電気系統の問題(欠陥)により出火した」と発表した。
今回の調査が長引いた一つにブラックボックスが墜落の6分前で止まってしまった。その事により墜落した機体から手がかりを見つけると言う地道な作業だった。
なお、原因とされた娯楽システムは、スイス航空の他にアリタリア航空でも導入したがいずれも使用を停止している。
当時、この娯楽システムは他社の娯楽システムの一歩上のシステムと称され、機内アニメティでは他社に1歩遅れいたスイス航空にとってはこのシステム導入で一気に抜き返そうとしていた。それが逆にアダとなってしまった
事故から約4年半が過ぎ、その間にもスイス航空は今は飛ぶことが無い。しかし、229人の尊い犠牲は消える事は無いのです・・・
そして、二度とこんな事故は起こさないようにして欲しい