平成16年6月20日〜21日
いよいよ第2の目的シティナイトラインに乗車です
シティナイトライン(CNL)は95年にスイス・ドイツ・オーストリア鉄道の共同出資で発足した列車で、当時夜行列車での犯罪や利用者激減を受けてこれを改善し、ホテル並の居住空間を備えた夜行列車として開発された新造寝台車と座席車、食堂車を連結してブルーの車体に黄色い三日月マークを掲げ華々しくデビューしました。 寝台車は2階建てのダブルデッカーとしてデラックスルームには洗面所、トイレ、シャワーまで設けられ、都市間夜間輸送の新しい手段として好評を得ましたが、利用者は伸び悩んだようです。 理由の一つに運賃が割高と言う理由があったようです。各国出資のCNLが保有する私有客車と言う位置付けで、線路を各国から拝借して運転すると言う、いわゆる上下分離方式の為、通常の鉄道運賃とは違う独自の運賃体系を持っているのです。(現在は、割安なクッシエットの連結や払い戻し不可の特別運賃など導入で乗車率は良いようです) その後、CNLからドイツ、オーストリア鉄道は経営から退いた事により、新造した寝台車の一部はそれぞれの鉄道に転籍をして、ユーロナイトやナハトツーク(DB)などに組み込まれて運転されています。 現在、CNLは転籍した車両を埋める形でドイツ国鉄から購入した簡易寝台(クシェット)を組み込み、座席車・寝台車と3タイプの車両に食堂車と言う編成で、スイス〜ドイツ・オランダ、オーストラリア〜ドイツ間を結んでいる。 等級は、座席車・4人用クシェット・6人用クシェット・4人用個室寝台・エコノミー寝台(シングル・ツイン)、デラックス寝台(シングル・ツイン)とあり、エコノミーとデラックスはツイン利用の場合は2段ベットとなり、それぞれ運賃が設定されています。(ユーレイルパスなど鉄道パス利用者の場合は割引がある)運賃は一律でどの駅から乗車しても同額になっているので長距離利用の方がお得くですね 乗車券は日本の旅行会社を通じても購入出来きますが、予定が確定しているのならインターネットで購入した方が安いので、利用予定があるならホームページで運賃と空き状況を確認してください。特にデラックス寝台は部屋数が少ない事から満室になる事も多いようですので、ネット購入(予約時にクレジットカードで支払い、乗車券はPDF形式で提供されるのでそれを印刷すればOK)をお奨めします。 私もホームページで最後の1室を購入しました |
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ホームページアドレス http://www.citynightline.ch | |
←インターネットで購入するとA4サイズのPDFファイルを印刷して乗車します。その際に支払いに使用したカードを持参するようになっている 画像をクリックすると全体画像が見られます。 |
ウィーン西駅をぷらぷらと1時間程時間を潰すと、ホームにはブールの車体をまとった「シティナイトライン」CNL312"Donau Kurier"が入線していた。
指定された車両は42号車です。駅舎よりは座席車だったのでテクテクと歩いていくとCNLのクルー居て、切符を見せると一番前の車両ですよと教えてくれた。
指定された車両に乗り込むと、クルーの女性がやってきて部屋まで案内してくれた。階段を上がって部屋に入ると4畳程の広さがあり、初めて乗車する事を告げると室内の設備を説明をしてくれた。
それから、明日の朝食を何時に持って来るかの質問があり、朝食は8時にお願いした。個室寝台利用者には朝食が含まれていてるのです。
最後にパスポートと乗車券を預けると、ウェルカムドリンクは何にしますか?と聞かれので「ビール」を頼んだ。
改めて室内を見渡すと、洗面所は狭いながらも小柄の日本人なら問題はなさそうです。ちゃんとタオルにドライヤー、アニメティもあり、シャンプーリンス、石鹸、そして耳栓まであったのには笑ってしまう。うーーん、線路の音で寝られないのか?それともダブルで使用した時に相方の鼾がうるさいので使うのか???
今日はシングル利用なので上段ベットは仕舞われている。
ベットのクッションもちょうど良く、毛布もふかふかでこれならちょっとしたビジネスホテルよりも良さそうです。
早速、ビールが運ばれてきてグラスに注いで寛いでいると、いきなりブレーカーが落ちたように電源系統が切れた。
また外が暗くなってないので問題無いが、???と思っていたら復旧したのか再び電気が付いた。
もう、発車の時間なのだが出発する様子が無い。なんだろうと思うけどまあ、遅れたところで別に支障も無いので、ノンビリと過ごします。
もし、天気が良ければまだ日がある時間なので、明るくてもうちょっと景色とか見られるのに・・・
すると、再び電気が消えてしまいます。なんか電気関係のトラブルなのかな?
21時少し前にようやく、列車が動き出しますが約30分の遅れです。まあ夜行列車なのでどこかで運転停車とかあるから朝には定刻になっているかも知れません。
さあて、列車も出発したことだし、列車内探検をしようと部屋を出かけます。
部屋を出る時に鍵が外からは掛からないようようです。まあ、貴重品は全て持っているので盗まれても問題ないし、各車両にはクルーが居るので車両の出入りは見張られているので安全だろう。
最後尾に向けて歩いてみましょう。
28 | 29 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 |
Bpm |
Bpm |
Bvcmz |
Bvcmz |
WRm |
DWLBm |
DWLABm |
日本マニア風に言えばハザ・ハザ・ハネ・ハネ・サシ・ロネ・ロネと言ったことろでしょうか。
42号車はデラックス個室がある車両で、アッパーデッキ(2階)にデラックスが4室、1階にエコノミーが配置されている。隣の41号車は全てエコノミーとなっているのでアッパーデッキに当たればラッキーですね。
食堂車は車両の1/3程度がテーブルで残りの場所がバーカウンター&ギャレーになっていて、テーブル席は埋まっていた。少し時間を置いてディナーを食べにこよう。天井には夜空のイルミネーションが輝き、壁には三日月のロゴマークが輝いていて、乗客の憩いの場になっていてバーはほぼオールナイトだそうです。
なお、CNLは車内禁煙ですが、この車両だけタバコが吸えるようになっています。
食堂車の後のクシェットに行ってみますと、まだ寝るには早いので、通路の席に座って外を眺めている人が居て、なんか日本のブルートレインと同じ風景です。乗車率は6〜7割程度でしょう。
面白いのは、車両の1/4に自転車を置き場を設けてある車両があり何台のサイクリング用やマウンテンバイクが搭載されています。欧州では、自転車と一緒に旅行すると言うのがごく普通になっているのです。これは日本では無い自転車文化の違いですね
そして、最後部はリクライニング座席車が2両で、こちらはほぼ満席のようです。CNLの座席車はプライバシーに配慮した特注リクライニングシートで、リクライニングすると三日月型になる面白い形状をしています。
この座席車は欧州の夜行列車では珍しく室内を暗くする「減光」する。欧州や日本の夜行列車でも座席車は防犯の為、車内の蛍光灯はずーっと点灯されていますが、CNLは「安眠」の為に減光されるようです。
これはクルーが客室を見張っているからこそなのでしょう。(とは言え、最低限の安全対策は必要ですね)
一巡して再び部屋に戻り、さっぱりしようとシャワーを浴びます。部屋には狭いがシャワーがあり、暖かいお湯が出るのです。日本にもシャワー付きの個室寝台があるが、利用出来る時間が制限されているが、CNLはそんな制限も無く好きなときにシャワーが浴びれるのです。
ボタンを押すとシャワーが出る仕組みで、頭と体を洗うがどうもカーブが多い場所で使ったせいなのか?排水口とは逆方向に水が溜まってしまい、これでシャワーから出たら洗面所の方に流れてしまいそうだ。これは改善した方が良いと思うなぁ。
シャワーを浴びてさっぱりしたので、ディナーに出かけよう。
食堂車に行くと運良く席が空いてので、座ってメニューを眺める。すると元々食堂車&バーは雰囲気を演出するように薄暗くなっている車内の電気が再び消えてしまった。
ありゃ、また電源系統のトラブルかぁ?と思っていると、男性クルーが電灯を持って連結部分にある配電盤を空けてブレーカーを上げると再び電気が付いた。
一段落したところで注文をしようとしたら、なんと「オーブンが故障して暖かい料理が出せなくなってしまった」と言われてしまった。これが電源系統のトラブルでオーブンを使おうとするとブレーカーが落ちてしまう・・・
これはとても残念な事で、楽しみにしていた食堂車でのディナーがサンドイッチになってしまいました。シクシク・・・
(これは最近の欧州の食堂車に多い飛行機方式の食堂車なのです。ケータリングで食材を準備して冷凍かチルド状態にして、車内でオーブンで温めてサービスすると言う形態で、かの有名なスイスの氷河急行に連結されている新型食堂車もこの方式です。)
残念な気分で部屋に戻り、寝る事にします。列車はオーストリアからドイツ国境に向けて山間部を走っているようです。
平成16年6月21日
日が変わり月曜日です。ふと目が覚めるとフランクフルト中央駅に停まってます。時計を見ると6時半です。
まだ早いなぁとベットに横になっていると列車が走り出します。フランクフルトで進行方向が逆になります。
途中からナハトツーク(ドイツ鉄道の夜行列車)との併結運転となり、編成も倍の14両編成となっています。
列車は暫くすると、ドイツ鉄道で最も(?)風景明媚な場所とされるライン川に沿ってに走ります。ちょうど個室が川側であり、なおかつ通行方向が日本と逆なのですれ違い列車に遮られる事なくブラインドを全開にして朝の光を取り込みながら、風景を堪能できます。ただ残念なのが窓ガラスが少し汚れているのが気になりますが・・・
ライン川を行き交う船を眺めながら列車は進みます。さすがに14両編成とあってカーブの時に先頭の機関車がかなり先に見えます。
あ、あそこが有名なローレライかぁ
8時少し前に、部屋のドアを叩く音。クルーが朝食を運んできてくれた。この時に昨晩預けたパスポートと乗車券を返してくれた。その時、列車が20分遅れている事を詫びていた。
パンにジャム、シリアル、ハム&サラミと言ったコンチネンタル形式の朝食です。コーヒーもたっぷりとポットに入れて持ってきてくれます。
うーーん、昨日からパンづくしだぁと思いながら景色と朝食を一緒に楽しみます。
列車は昨夜の遅れを完全には取り戻さなかったようで、時刻表と照らし合わせますと確かに20分遅れています。
西ドイツ時代の首都だったボンを通り、列車はデュッセルドルフに近づいてきます。
約13時間のCNLの旅も間もなく終わりです。
9時40分、定刻より約15分遅れでデュッセルドルフ中央駅に到着します。天気は良くなくホームに下りると寒い位です。
<つづく>
(おまけ)
今回、CNLに乗って感じたのは、日本では夜行列車でも見習って欲しいものです。「カシオペア」など豪華(?)夜行列車もありますが、高価な上オールツイン仕様とバブル時ならともあれ、このご時世には厳しいものがあります。
CNLは個室寝台からクシェット、座席車と利用者のニーズに合わせてチョイス出来る列車は日本では例がありません。また運営方式も上下分離方式は面白い運行形態ですし、日本でもこういう形態での夜行列車経営というのは面白いのでは無いでしょうか?
まあ、日本の鉄道業界ではこういう発想をするのは無理な話しですがね。
(参考HP)
http://www.citynightline.ch/
http://www.asahi-net.or.jp/~ny8h-ky/db-page/j-cnl.htm
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