南東北 気仙沼線キハ58、石巻線 くりはら田園鉄道の旅
1月19日金曜日の23時前、池袋駅の西口には帰宅を急ぐサラリーマンや若者たちが沢山いるなか、西口バス乗り場の外れにある高速バス乗り場に向かうと、既に乗客が集まっています。

今晩は23時発の高速夜行バス「けせんライナー」で東北へ向かうのです。
目的は気仙沼線と石巻線、そして3月末で廃止される「くりはら田園鉄道」に乗る為です。
23時に岩手県交通のバスがやってくると、乗客がバスに乗り込みます。バスの切符は昨日ネット予約して、コンビニで購入しましたが、その時点で空席は2席しかありませんでした。

乗務員に切符を渡して、指定座席の7Bに座ります。3列独立シートの真ん中座席なのが残念。
トイレはバス後方に設置されているタイプでバスはちょっとクタビレ感がありました。
3列シートですが、なんとなく窮屈な感じがします。ずーっと前に乗った3列シートバスの方がゆったりしていた気がします。
23時10分、乗客全員が乗り込み池袋を発車します。
案内によると今のところ道路状況は良いとの事。冬なので天候が気になるところだが、予報でも天候も良好のようなので、まずは一安心。
案内が終わると、運転席後ろのカーテンが閉められ、車内も滅光され暗くなります。
こうなるとどこを走っているか全然判りません。多分、環七に出て鹿浜から高速を使うと思うですが・・・ カタンカタンとどうやら首都高に入ったようで、橋脚のジョイントを踏む音が聞こえてきた。

寝ようと思うですが、なかなか寝付けません。 「まもなく一ノ関駅到着です」のアナウンス。時計を見ると4時40分。どうやら定刻より若干早いようだ。
数名が下車して再び走り予定より5分早く、5時20分千厩バスターミナルに到着。ここでバスを降ります。
外は真っ暗で小雪が舞っています。 ココから一ノ関方向に歩いて10分位戻るとJR大船渡線千厩駅があります。ココから鉄道の旅です。
バスを一ノ関で降りて大船渡線の始発に乗っても良かったですが、冬の寒い朝に一ノ関で1時間半近く待つのはちょっと厳しい。千厩までバスに乗って行けば、千厩5時48分発の上りに直ぐ乗れるので、下りの始発と交換出来る駅まで行けば、暖をとれるし・・・ と言う訳なんです。

バス停から歩いて10分ちょいで千厩駅に到着。待合室が煌々と電気が点いてます。 上り始発はキハ110の2両ワンマンでした。この列車で約30分ほど乗って岩ノ下駅で下車します。
隣の陸中門崎で上下始発列車が交換するので一つ手前の駅で降ります。 ホームにコンクリ作りの待合室があるだけの典型的?な無人駅でした。
6時を過ぎ少しずつ回りも明るくなってきます。 待つこと10分、6時27発の大船渡行きが到着します。
今度はキハ110の単行ワンマンでした。 今来た道を戻り、夜が明けてきた中気仙沼へ向かいます。大船渡線も初めて乗る路線ですが、今回は全線走覇は無理なので、また次回いつか来ることになるでしょう(笑)

7時27分、定刻に気仙沼に到着します。
ちょうど、乗り換える快速南三陸2号になるキハ28+58が側線で待機しています。
どれどれ写真を撮りに行くと、既にマニアの方が撮影されています。軽く挨拶すると「今日は28の4連になるんですよ」と教えてくれた。
普段はキハ40が入ったりするので、4両全てがキハ58,28で組成されるのは、珍しいそうです。
個人的にも南三陸2号はキハ58,28が連結されるので、狙っていた列車なので、これは嬉しいです。
7時34分に小牛田から来る気仙沼線下り始発と連結して4両になって仙台に向かうのです。 こちらはキハ28+キハ28の2連で1番線に到着後、側線に待機していた2両が仙台方に連結されてキハ58+キハ28+キハ28+キハ28となりました。
国鉄時代は、全国の至るところに走っていたキハ58,28も残りは僅かで、この南三陸で使われている彼らも今年の3月のダイヤ改正で消える予定です。
全国のローカル線で活躍し学生時代に幾度と乗った車両が無くなるのは寂しいものです。もっとも自分が生まれる前から活躍していたのだから仕方ないですけど・・・

2号車と4号車はリクライニングシートになっていて4号車は指定席になってます。1号車と3号車はオリジナルのボックスシートになっていて、昔なつかしい網棚が「網」になっている一号車に乗車します。

発車まで時間があるので、売店コンビニでおにぎりを買って朝食にします。
改札が始まり、殆どの乗客は2号車のリクラインニング車に乗ってます。
8時13分、定刻に気仙沼を発車します。発車後これまたなつかしいオルゴールの付きの案内放送がありました。

次の南気仙沼で多くの乗車があり、列車内も賑やかになってきます。列車は南三陸の海を眺めながら快調に飛ばしていきます。
意外にもこの気仙沼線の全通は1977年とローカル線では珍しく最近?開業なのです。
国鉄の赤字が表面化して次々とローカル線建設取りやめされる時代に、幸運にも開通できたのは地元の熱意があったことでしょう。
路線規格も高めなのでしょう、快速はかなり飛ばして走っています。

9時27分、石巻線との接続駅前谷地駅に到着します。
このまま仙台まで乗り通したいところですが、ココで下車します。3番線に停車中の9時55発の石巻行きに乗換えます。
この列車にはキハ28が一両連結されているのです。 両端にキハ40が連結されて3両連結になっていますので、もちろんキハ28に乗車します。それも南三陸の指定席用キハ28で、リクライニングシートになってます。
さらに冬季はブラインドの代わりにスモークにアクリル板がはめ込まれているので、車窓を見るにはちょっといただけません。

DE10の貨物列車と交換して前谷地を発車します。石巻までは20分と短い乗車ですが、昨晩良く寝れなかったので眠くなってきます。 うとうとしかけた所で、石巻に到着です。
ココには中学生の時、仙石線に残っていた旧型国電に乗りに来た時以来です。当時は仙石線と石巻線の駅舎が別々になっていましたが、今は統合されて綺麗な駅舎になっていました。
石巻では女川行きに4分接続となっていますので、4番線へ急ぎます。
今度はキハ48の2両ワンマンです。昔はどの列車にも車掌が乗っていましたが、今やローカル線はワンマン運転が主体になって、アナウンスも自動になってしまい味気ないものになってしまいました。

ホタテ貝の貝殻が積みあがっている海岸線沿いに走ります。三陸と言ったらウニにホタテが有名ですから、新鮮な海の幸を食べたいところですが、今回は時間がありません・・・ 女川には10時48分に到着です。
折り返しの小牛田行きは11時23分発なので35分程時間があるので、この時間を利用して、駅に隣接している「女川温泉ゆぽっぽ」に一風呂浴びることにします。
時間が無いので慌しいですが、「掛け流し」と聞いては入らない訳にはいきません。 詳しくは温泉レポートをご覧ください。

さて、一風呂浴びて急いで駅に戻り11時23分発の小牛田行きに乗り込みます。 再び、来た道を戻りますが、昼間のローカル線とあって車内は閑散としています。
途中石巻では殆どの乗客が降りて、仙石線へ乗換えます。ココで15分程停車するので、ちょっと駅前を見ようと下車します。

石巻は漫画家石ノ森章太郎の生地で駅前には同氏の漫画のキャラクターが出迎えています。 再び列車に戻り、石巻から小牛田へ向かいます。石巻からのどかな田園地帯を走ること40分で小牛田に到着します。これで石巻線と気仙沼線は完乗です。

小牛田からは東北本線で石越へ向かいます。一ノ関行きが向かい側のホームに停車中で、直ぐの発車です。 悪評の高い?701系2両編成で、空いているロングシートに座ると睡魔が・・・ 気が付くと、石越の手前で危うく乗り過ごすところでした。

石越で、「くりはら田園鉄道」通称、くりでんに乗換えますが、1時間程の待ち時間があるのでこの時間を利用して昼食にします。
駅前に食堂があり他に見渡してもコンビニが遠くにある位なので、駅前の「はっと亭」に入ります。 そばを頼んだのですが、どうやらこのお店は「はっと」がウリらしい。
「はっと」とはすいとんのなんだそうです。そんならそばにしないで、「はっと」にすれば良かったなぁ。
このお店はおばちゃん二人で切り盛りする食堂でなかなか味わいがある感じです。食後にはコーヒーとデザートのサービスまでありました。

まだ列車が来るまで時間があるので、細倉マインパーク前からやってくる列車を撮影しようと駅から線路沿いに歩いていくと、直ぐに良い場所がありました。
ここで列車を待ち構えますが、到着時刻になっても列車がやってきません。どうやら遅れているようで、5分程遅れて近くの踏切が鳴り出し2両編成の列車がやってきました。
駅に戻り、列車に乗り込み14:20に石越を発車します。

2駅で若柳駅に到着しますが、ホームは人で溢れています。
どうやらバスツアーにこのくりでんが組み込まれているようで、どっと人が流れ込んできます。なるほどだから2両編成だったのか・・・ 通路まで一杯になった列車は5分遅れで発車します。
直ぐに田園風景の中を走っていきます。
この辺はササニシキの産地でもあります。時期が来れば田植えのシーズンになって稲が育ち黄金色になった稲の収穫となる筈ですが、くりでんからその風景はもう見られなくなってしまいます。

線路近くの田んぼにいくつもの白色の塊が見えてきて、なんだろうと思ったら白鳥でした。 ラサール条約にも加盟している伊豆沼は、白鳥が越冬の為にやってくるのですが、その鳥たちが散歩?しているのでしょうか?
沢辺では、ツアー客が下車し上り列車と交換です。どうやら臨時列車だったようで、車内には横断幕みなたいのがかかっていました。

静かになった列車は、田園風景を走り終点の細倉マインパークには5分遅れの15:10に到着です。 通常はワンマンなので、先頭車両で清算するのですが、今日は増結しているので2両目に乗った係り員が2両目の乗客の清算をします。
この列車は15:10に折返しの石越行きになりますが、到着が遅れているので発車も遅れそうです。
駅前に保存されている機関車の写真を撮って、再び列車に乗り込みます。
ココには細倉鉱山の施設を利用したテーマパークがあり、観光坑道や砂金堀などが楽しめるそうです。今回はさすがにそこを訪れる時間がないのが残念。

5分遅れで石越行きは発車し、来た道を戻ります。駅を発車して直ぐに旧細倉駅の廃墟がありました。栗駒ではそこその乗客が乗り込みます。
乗客の殆どはくりでんのお別れ乗車です。3月末が近づくにつれ多くなってくるのでしょう。

沢辺では、普段は使われていない予備用の車両と交換です。どうやらベーカムを持った撮影スタッフが居ましたから、何かの撮影用の臨時列車でしょう。
帰りは石越まで乗らず、若柳で下車します。
ココは駅員が居る駅で、珍しくなった硬い切符を売っているので、記念に入場券を買います。
駅舎の写真を撮って駅前に来たタクシーに乗り込みます。

さっき、細倉マインパークに着いた際に、電話でタクシーを呼んどいたたのです。
若柳駅からくりこま高原駅までタクシー移動です。沢辺駅からバスがあるのですが、時間が合わないので、止む無くタクシー利用となりました。
タクシーの運ちゃんと話をしてましたが、「みんな早く来てくれればくりでんも無くならなかったのにねぇ、県が補助打ち切ることになったのが一番だったね。地元自治体も金を出すと言う話もあったけど、町がくっついたりして大きくなっちゃたから、地域によっては利用しない鉄道にお金を出すのはおかしいって言う話になって、まとまらなかったし」と話していました。
もっとも、「この辺だと70,80歳でも車を運転するそうです。だから一番無くなって困るのは学生だろうけど、子供も居なくなっているから」と話を聞くと地方鉄道の厳しさが良く判ります。

10分程で東北新幹線のくりこま高原駅に到着します。これまた田んぼの中に綺麗な駅。さらに地域センターみたいのがあって、展望タワーまであります。 「地元の人もあんま使わないよ、仙台に行くならバスだし、東京に出かける人は少ないしね」と「おらが街に駅を・・・」って奴か
ちなみに、タクシーは若柳駅からくりこま高原駅まで、1950円でした。

ココから仙台まで新幹線を利用します。16:28発のはやてに乗れば仙台17:00発の黒磯行きに乗れるのです。これが、東北本線で上野まで行く最終なのです。
あのままくりでんで石越まで行って、普通列車を乗り継いでも帰れなくは無い(東北線大宮行き最終で京浜東北線の最終接続で)のですが1時を回ってしまうので・・・

窓口で仙台までの新幹線特急券と乗車券を買います。でも「はやて」なので全車指定席だったのはちょっと誤算。
自由席が無いから500円余計に出費です。時間なのでホームに上がると数えられる程度の乗客しか居ません。これじゃ、一日の乗降客数もたかが知れそうな感じです。
このまま新幹線に乗ってしまえば東京までは早いのですが16:47仙台に到着。ここで下車します。

17:00発の黒磯行きは5番線から発車するので、ホームに降りると、455系の6両編成でした。
この車両も3月の改正以降、順次新型に置き換えが決まっている旧国鉄型の車両です。
運よくBOX席を確保できました。これで黒磯まで3時間半です。
仙台を発車して、名取あたりから眠くなり・・・起きたのは福島到着前でした。福島では14分の停車時間があります。
ここで駅弁を買おうと思い、改札口を出てみて周りを探してみますが駅弁売り場が見当たりません。
最近は、新幹線ホームとかだけに売店があったりして在来線ホームに無い場合が多く残念。
この後郡山でも17分の停車があるので、そちらに期待しよう。
しかし19:23に郡山に到着でもホームには弁当売り場は無し。そのかわり立ち食いそば屋営業している。
昼夜そば続きになってしまうが、仕方が無いがきつねそばを注文。
昔、学生時代に旅行していたときは弁当買うお金が勿体無いから、良く立ち食いソバを食べなぁ・・・

安積永盛ではホームに一杯の学生。なんだと思っていたら、センター試験帰りの学生らしい。 2つドアなので乗車に手間取り3分遅れで発車。車内も満員状態になりましたが、駅に着くたびに学生は降りていき、白河からで学生は殆ど降りて車内も静かになりました。
20:42黒磯に到着します。ここからは宇都宮行きに乗り換えです。
黒磯には駅弁があったのですがもう撤退してしまったそうです。宇都宮行きは211系のロングシート。東京近郊はロングシートになってしまい味気ないものです。
約50分で宇都宮に到着。ここから上野行きに乗換えます。
E231系ですしすることも無いので寝るのに最適な席をGet。Box席とロングシートが組み合わせなっている所です
目をつぶっていると直ぐに寝てしまったようです。なんか寒いなぁと目が覚めたのは浦和でした。
23:38定刻に上野到着しました。後は秋葉原から総武線に乗って帰宅するだけです。


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